2014/01/20
第一子の妊娠が分かった時、
私は夫と共に「株式会社赤ちゃんの親」という会社を設立することにした。
代表取締役は私だ。
夫には役員となってもらい、会社のビジョンについて相談したいと、かなり期待をしていた。
しかし、夫は言う。「アルバイトで雇ってくれるんなら手伝うよ。今度履歴書書こうか?」と。
夫と肩を並べてバリバリ頑張る気だった私は面食らった。
この温度差は何なのだろうかと。
さて、私のお腹が大きくなってきた。
私は「あなたにはいずれ、この会社の取締役になってもらうわよ」。と夫に言ってみた。
夫からは「仕事内容を勉強しとくよ。レジュメとか印刷しといてよ」との返答が。
他力本願過ぎるが、働く気にはなってきたのかもしれない。
そして子が産まれた。
「株式会社赤ちゃんの親」は無事設立され、
夫はアルバイト従業員として働くことになった。
私は代表取締役なので、24時間会社の運営のことで頭を悩ませているのだが、
夫は一日数時間のお気楽アルバイト。経営の相談を持ちかける相手ではない。
しかし、やる気と熱意だけはあるようで、首にはできない。
さて子が1才になり、保育園に通うことになった。
夫は契約社員となり、ある程度は仕事ができるようになっていた。
保育園のことにも少し興味を持ち始め、
子の教育について、真剣に考える場面が増えてきた。
子が喜ぶ遊びについて自主的に研究をも重ねていた。
その姿勢は評価できるが、子が病気をするなどの不測事態が起こると
社長がいなければ会社は回らない。
そうこうするうちに、私が第二子を妊娠した。
夫には、会社を引っ張っていかなければという自覚が芽生えつつあるようだ。
保育園への送迎方法を覚えようとし、
今更だが母子手帳を手に取り、出生時の子の体重なども頭に入ってきている。
これまた今更だが、予防接種にも興味があるらしい。
私はそろそろ夫を「株式会社赤ちゃんの親」の正社員に昇格してやることにした。
あっという間にお腹は大きくなり、出産が目前に近づいた。
夫は、とうとう保育園への送迎をマスターし、先生とコミュニケーションも積極的にとるようになった。
休日には進んで子と遊んでいる。そんな様子を見た私は、彼に主任の肩書きを与えることにした。
しかし、衣食住の管理、トイレトレーニングなどの専門知識が不足している感は否めない。
子供とのコミュニケーション力もあと一歩。
課長クラスに昇格するには、もう少し頑張ってほしいところである。
さて、第二子が産まれた。
母は2つ目の会社「株式会社第二子の親」を設立する。
初代の会社名を「株式会社第一子の親」と変更し、
代表取締役の座を夫に譲り、自分は理事長として裏方に回ることにした。
やむを得ない事情から異例の昇格となり、当初の会社は大パニックであった。
しかし、社長という職はやりがいがあるようで、現社長はとても頑張ってる。
アルバイトのころを思い出すと、信じられない成長ぶりだ。
男とはこういうものなのか。
さて私は、新会社「(株)第二子の親」の経営に加え、
依然として「(株)第一子の親」の雑務もあり、大変忙しくしている。
いつか夫にも「(株)第二子の親」の仕事を手伝ってほしいのだが、
はたして、彼が2つの会社で手腕を発揮できる時がくるのだろうか。
今後に斯うご期待。